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2023年10月18日

アキュリスファーマ、てんかん発作に対する抗けいれん薬ジアゼパム点鼻液の 国内第III相臨床試験で良好な中間解析結果を示す

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  • てんかん重積状態、又はてんかん重積状態に移行する恐れのあるけいれん発作を有する6歳以上18歳未満の患者を対象にした経鼻投与型抗けいれん薬の日本で初めての国内第相臨床試験による結果である。
  • 予め規定された中間解析で有効性の主要評価項目を達成するとともに、安全性および忍容性が確認される。治験薬と因果関係のある呼吸抑制関連の有害事象は認められず。
  • 本試験の中間解析から得られたデータに基づき、ジアゼパム点鼻液の製造販売申請を予定している。

 

神経・精神疾患領域における革新的な治療薬の開発と商業化を推進するアキュリスファーマ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長 兼 共同創業者 :綱場 一成)は、抗けいれん薬ジアゼパム点鼻液(開発コード:NRL-1)について、てんかん重積状態を有する又はてんかん重積状態に移行する恐れのあるけいれん発作を有する6歳以上18歳未満の日本人患者を対象にした 第III相臨床試験(以下、本試験) において、予め規定された中間解析で主要評価項目を達成したことをお知らせします。
本試験は、複数の臨床的に関連のある評価項目を用いて、有効性、薬物動態、安全性および忍容性データから示される包括的エビデンスに基づいて、ジアゼパム点鼻液の臨床効果を評価するよう設計されました。ジアゼパム点鼻液は、てんかん重積状態又はてんかん重積状態に移行する恐れのある発作に対する臨床試験において有効性と安全性を示した日本で初めての鼻腔を薬物投与経路とする抗けいれん薬です。

本試験では主要評価項目である、臨床的にけいれん発作と判断される状態が本剤単回投与後10分以内に消失し、かつ単回投与後30分間けいれん状態が認められなかった割合を評価し、有効性が示されました。また、投薬中止に至る有害事象及び治験薬との因果関係がある重篤な有害事象は認められず、呼吸抑制に関連する有害事象も認められませんでした。

本試験の中間解析から得られたこれらのデータに基づき、当社はてんかん発作を繰り返す患者さんの緊急治療ニーズに応える本邦初の経鼻投与型抗けいれん薬として、ジアゼパム点鼻液の製造販売承認申請を目指しています。また、今後開催される国内医学会でこの中間解析の結果を発表する予定です。

当社代表取締役社長の綱場 一成は、このように述べています。「多くのてんかん患者さんは適切な治療によって通常の社会生活を送ることが可能ですが、薬物治療で発作をコントロールすることが難しい患者さんは、医療機関の外でいつ、どこでおきるかわからない発作の不安に苛まれています。有効性と安全性に加え、発作時に非医療者が適正に使用しやすい利便性に優れた緊急治療薬へのアクセスが可能になれば、身体的・精神的負担の軽減、そして発作遷延による後遺症リスクの軽減にも寄与し得ると期待を寄せています。てんかん発作中の患者さんに投与しやすい経鼻投与型の抗けいれん薬は、米国では2020年に承認済みで広く使用されている製品です。ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの解消を目指す当社の取り組みによって、繰り返すてんかん発作を抱える患者さんと介護者に革新的な治療薬と希望を一日も早く届けられるよう、今後も患者団体、医療関係者および規制当局と連携し、事業を推進して参ります」

当社は革新的な治療薬の開発と同時に、外部パートナーと協業し、日本におけるてんかん発作の実態や課題について明らかにし、その結果を今後のてんかん発作の医療提供体制の整備等に役立てていくことを目指すとともに、てんかん発作に地域社会全体で対応するエコシステムの構築を推進しています。引き続き医療に関わる課題を社会的視点から特定し、その解決のために最新のデジタル技術を駆使し、外部とのパートナーシップを積極的に活用することで新しい医療手段の提供を目指し、日本社会に貢献して参ります。

 

ジアゼパムおよびジアゼパム点鼻液について

ジアゼパムは注射剤などの剤形でてんかん発作時の治療薬として日本の医療現場で約60年使用されています。ジアゼパムの坐剤は医療機関外においても患者さんや介護者などの医療関係者以外の方に使用されてきました。

本剤は米国Neurelis社が開発し、当社が日本およびアジア太平洋地域*での独占的開発・商業化に関するライセンスを有し、現在、日本における本剤の開発を進めています。同社は2020年にジアゼパム経鼻液(米国商品名:VALTOCO®)について「6歳以上のてんかん患者における通常の発作パターンとは異なる間欠性の典型的な発作頻発(すなわち、群発発作、急性群発発作)のエピソード(参考訳**)」を効能効果として米国食品医薬品局(FDA)の承認を得ています。また、20236月に中国国家薬品監督管理局(NMPA : National Medical Products Administration)が同様の効能効果でジアゼパム点鼻液を承認しています。

* アジア太平洋地域:オーストラリア、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、韓国、ラオス、マレーシア、ミャンマー、ニュージーランド、フィリピン、タイ、ベトナム
** VALTOCO®効能効果の原文The acute treatment of intermittent, stereotypic episodes of frequent seizure activity (ie, seizure clusters, acute repetitive seizures) that are distinct from a patient’s usual seizure pattern in patients with epilepsy 6 years of age and older.

 

てんかんについて

てんかんは、脳の神経細胞の過剰な電気的興奮に伴って、意識障害やけいれんなどの症状(てんかん発作)を引き起こす慢性的な脳の病気です。日本では約60万〜100万人、1,000人に58人がてんかんに罹患していると言われています。医療の進歩により、多くのてんかん患者さんは適切な診断や抗てんかん薬などによる治療を受けることでてんかん発作を抑えることができ、通常の社会生活を送っていますが、約3割の患者さんやそのご家族・介護者は繰り返す発作に対応することが求められています1,2

てんかんの原因、症状、重症度は患者さん個々人によって大きく異なり、同様にてんかん発作も患者さんごとに多様な性質をもっています。その中でも、1日に何度も繰り返される発作や一定時間が経過しても停止しない発作(てんかん重積状態)を抱える患者さんにおいては、脳へのダメージ、生命予後への影響が懸念され、速やかな治療介入が必要とされます3。しかしながら、現状、院外での発作対応は救急車で医療機関に搬送し、医療関係者による投薬治療を受けることが中心で、発作開始から医療機関に救急搬送されるまで2040分を要することから、時間の障壁があります3患者さんとそのご家族、医師を対象とした海外の大規模調査では、繰り返すてんかん発作が患者さんご本人はもとより、ご家族における精神的、社会的、経済的な負担についても報告されています4

 

Neurelis, Inc.について

Neurelis, Inc.Neurelis社)は神経疾患領域でアンメットメディカルニーズを抱えているてんかんや希少神経疾患の治療薬の開発と商業化に注力している製薬企業です。 Neurelis社の詳細についてはwww.neurelis.comをご覧下さい。

 

■アキュリスファーマ株式会社について

アキュリスファーマは、日本のドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロス解消の先駆者となり神経・精神疾患にかかわる社会課題解決に取り組む日本発の製薬ベンチャーです。“Catalyst to Access”(革新的な医療への橋渡しを担う)という理念を掲げ、Aculys(アキュリス)を社名としました。神経・精神疾患領域において革新的な医療手段への橋渡し役となり、患者さんとご家族、医療関係者、社会により良い医療を届けるため、欧米諸国から革新的で優れた医薬品を導入し、開発・販売を担い、さらに疾患を取り巻くさまざまな課題に対するソリューションを提供します。

会社名:アキュリスファーマ株式会社 [英語名:Aculys Pharma, Inc.
所在地:東京都港区北青山2-14-4 The ARGYLE aoyama
代表者:綱場 一成
設立日:20211
URL:https://www.aculys.com

<注意事項>
本リリースに記載されている医薬品に関する情報は当社の経営情報の開示を目的としており、当該医薬品の宣伝・広告を目的とするものではありません。

出典:

  1. 大槻泰介:てんかんの有病率等に関する疫学研究及び診療実態の分析と治療体制の整備に関する研究, 2013 https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/22749 (2023年10月5日アクセス)
  2. Kwan P, MJ Brodie. Early identification of refractory epilepsy. N Engl J Med. 2000 342(5):314–319.
  3. 日本小児神経学会:小児てんかん重積状態・けいれん重積状態治療ガイドライン2023 p.2-22, 診断と治療社, 2023
  4. Penovich PE, Buelow J, Steinberg K, et al. Burden of seizure clusters on patients with epilepsy and caregivers survey of patient, caregiver, and clinician perspectives. Neurologist. 2017 22:207–214.