Disease Areas

神経・精神疾患領域には、未だ満たされていない医療ニーズが数多く存在しています

睡眠関連疾患

睡眠に関わる問題を、関連疾患を抱える患者さんだけでなく広く一般生活者に関わる社会的課題と捉え、私たちはその解決に取り組んでいます

ナルコレプシーや閉塞性睡眠時無呼吸症候群に伴う主症状の一つとして「日中の過度の眠気」が知られています。しかし日中の眠気は他の疾患、あるいは一般生活者においても睡眠不足などに伴ってみられることから、早期に疾患を疑うことや、早期に診断されるためには睡眠関連疾患の啓発だけでなく、適切な睡眠の重要性に関して広く知って頂くことが重要だと考えています。

睡眠不足が社会全体に及ぼす影響として、日本における経済的損失は国民総生産(GDP)の3%にあたる約15兆円(年間)との報告があります。

※ ランド研究所、2016年調査研究より
https://www.rand.org/pubs/corporate_pubs/CP1-2016.html

日本における過眠症薬物治療の選択肢は限られており、有効性や安全性の点で改善を求める大きなニーズがあると私たちは考えています。

睡眠関連疾患に伴う随伴症状には記憶喪失、集中力の低下、うつ病や不安などが含まれ、人間関係、学業や就業におけるパフォーマンス、余暇活動など、心理社会的な影響をもたらします。

睡眠に関わる社会課題の解決に向けた包括的な「睡眠エコシステム」構想

  • 睡眠に関わる問題が日本社会に及ぼしている影響は甚大です。睡眠に関連する疾患についても、適切な診断・治療が遅れることによってQOLや日中のパフォーマンスの低下を招き、医療費の増大につながることが知られています。
  • 「睡眠エコシステム」では、睡眠の重要性を啓発しながら課題を顕在化し、疾患のリスクがある方には受診行動を促すことで医療へのアクセスを確保します。また治療開始後も日常的に症状をモニタリングすることで、個人差の大きい睡眠の状況を可視化し、ひとり一人、その時々に最適な対応が可能となる環境づくりを目指します。
  • IOTやウェアラブルデバイスの進化により、今まで計測が難しかった個々人の睡眠リズムの実態や生活パターンなどを把握することが可能になるため、より客観的なデータをもとに疾患リスクの検知や症状のモニタリングが可能となります。
  • アキュリスファーマは様々なパートナーと協業することで、患者さんが抱える課題、ひいては社会全体が抱える睡眠課題解決のために「睡眠エコシステム」の構築を進めて参ります。

※1 循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン(日本循環器学会 2010年)


睡眠エコシステムの図。エコシステムには5つのフェーズがある。1.睡眠問題の自覚。2.受診:近隣医療機関への早期受診の促進。3.診断:かかりつけ医・非専門医による初期対応の支援、病診・病病連携の強化。4.治療導入:治療へのアクセス環境の改善、患者背景や治療目標に応じた個別化医療、バイオマーカーに基づく治療効果の客観的評価。治療アウトカムの最大化。5.治療導入後:併存症・合併症の改善。治療アドヒアランスの維持・向上。エコシステムを構成するモダリティ・取り組みは以下。1.睡眠問題の自覚:Web、職場・学校・自治体での睡眠検診プログラム。睡眠衛生指導の普及。関連疾患が疑われる場合に速やかな受診を可能にするシステムの構築。一般人における睡眠に関する正しい知識の普及。生活習慣や原因疾患の予防・改善。3.診断:在宅で使用可能なデバイスによる疑い症例の評価の支援。施設間連携のためのネットワークの拡充。4.治療導入:新たな医薬品・医療機器による治療。ビッグデータAIに基づく個別化医療。在宅で使用可能なデバイスによる治療効果の評価。5.治療導入後:治療アプリを活用した認知行動療法

てんかん発作

てんかん発作に伴う患者さんと介護者の身体的・心理的な負担を軽減するための取り組みを私たちは進めています

てんかんは、脳の神経細胞が過剰に活動することによって繰り返し発作が引き起こされる(てんかん発作)病気です。医療の進歩によって多くの患者さんの発作は抑制できるようになり、通常の社会生活を支障なく送ることができます。また、治療を必要としなくなるケースも少なくありません。

一方で、抗てんかん薬等による治療を受けてもなお発作を繰り返す難治性の患者さんも存在します。てんかんや発作に対する誤解と偏見が社会的課題にもなっています。

※ NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター
https://www.ncnp.go.jp/hospital/patient/disease17.html

抗てんかん薬等による治療を受けてもなお、てんかん発作を完全にコントロールするのが困難な難治性の患者さんが、日本国内でも推計約30万人います。

※1 てんかんの有病率等に関する疫学研究及び診療実態の分析と治療体制の整備に関する研究_2013年

※2 Early identification of refractory epilepsy;N Engl J Med 2000 Feb 3;342(5):314-9.

てんかんに関する理解が進んでいる一方で、その原因や、発作が起こった場合の対応方法などについて正しい知識・情報をもっていない人は少なくありません。

※1 公益社団法人 日本てんかん協会 てんかんについての市民意識調査 2013年より
https://www.jea-net.jp/

約1/2の介護者がてんかんのために周囲の人が不快な思いをしていると考えており、患者さん自身に加え介護者の精神的な負荷の解決が望まれます。

※1 Epilepsy and social identity: the stigma of a chronic neurological disorder Lancet Neurol. 2005 Mar;4(3):171-8.

※2 Have attitudes toward epilepsy improved in Germany over the last 50 years? Epilepsy Behav. 2022 Nov 29;138:108982.

てんかん発作をもつ患者さん・ご家族を支えるエコシステム構築

  • てんかん発作を持つ患者さんの多くが発作をコントロールできている一方で、現在の医療ではまだ発作のコントロールが困難な難治性てんかんの患者さんもおよそ30%存在すると言われています。 こうした発作が患者さんの脳にダメージを及ぼす、あるいは生命に危険を及ぼすことを避けるため、速やか且つ適切な対応や治療介入が必要とされています。
  • そこで、いつ、どこで発作が起こったとしても適切な対応や治療介入がなされる地域社会を実現するため、周囲の関係者や一般社会においててんかん発作に関する正しい知識を広める啓発活動に取り組みます。
  • また、てんかん発作による患者さん、ご家族の身体的・心理的負担を少しでも軽減すべく、デジタル技術やデータを活用し、より個々の患者さんの状況に即した対応を可能とする情報収集や共有の仕組みを構築していきます。
  • アキュリスファーマは先駆的な技術や優れた知見をもつ外部パートナーと協働、連携して新しいエコシステムの構築を進めることで、てんかんをもつ患者さん・ご家族が安心し、自分らしく暮らせる社会の実現を目指して参ります。

※1 てんかんの有病率等に関する疫学研究及び診療実態の分析と治療体制の整備に関する研究_2013年
※2 Kwan P, MJ Brodie. Early identification of refractory epilepsy. N Engl J Med. 2000 Feb 3;342(5):314–9.
※3 小児てんかん重積状態・けいれん重積状態治療ガイドライン2023(日本小児神経学会)
※4 https://aculys.com/ja/news/20220126-191/


てんかんをもつ患者さん・ご家族を支えるエコシステムの図。アキュリスファーマ、外部パートナー、地域社会(学校・自宅・公共機関)、救急治療、かかりつけ医が連携。連携の詳細は以下。アキュリスファーマ+外部パートナーは、デジタルデバイスにより服薬記録/服薬管理、症状・発作の記録、発作(前兆)の検知を行う。てんかん発作に関するリアルワールドデータを集積することで、リアルワールドエビデンスを創出し、医師・患者・家族へ還元する。デジタルデバイスを通じて服薬記録や発作等のデータを、かかりつけ医にタイムリーに共有する。アキュリスファーマ+外部パートナーが地域社会と連携することで、てんかん発作に対する各地域での即応体制を確立。学校・自宅・公共機関などが救急隊員や救急医などへの円滑な情報共有を行う。救急隊員や救急医などは、デジタルデバイスを通じて救急搬送・発作状況を主治医に連絡する。