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2024年09月02日

アキュリスファーマ、てんかん発作に対する抗けいれん薬「ジアゼパム点鼻液」の製造販売承認を申請

神経・精神疾患領域における革新的な治療薬の開発と商業化を推進するアキュリスファーマ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長 :谷垣任優)は、てんかん重積状態を有する、又はてんかん重積状態に移行する恐れのあるけいれん発作を有する患者を対象に開発中の抗けいれん薬ジアゼパム点鼻液の製造販売承認申請を厚生労働省に行いましたのでお知らせいたします。なお、ジアゼパム点鼻液は希少疾病用医薬品の指定を厚生労働省より受けております。承認されれば、国内で初めての経鼻投与型抗けいれん薬となり、また成人においては初めての医療機関外で投与可能なレスキュー薬*となります。

代表取締役社長の谷垣 任優は、「多くのてんかん患者さんは適切な治療によって通常の社会生活を送ることが可能ですが、薬物治療で発作のコントロールが難しい難治性てんかんの患者さんは2割~3割存在します。発作が異常に長引いたり、何度も繰り返す重積状態に至ると、脳へのダメージや長期的な神経学的後遺症を引き起こすため、速やかな治療介入が極めて重要とされています2」と述べるとともに、「ジアゼパム点鼻液は有効性と安全性が臨床試験によって確認されていることに加えて、経鼻投与製剤というてんかん発作に対して簡便に使用できる剤形により、自宅や外出先など医療機関外での緊急治療に寄与し得ると期待しています。ジアゼパム点鼻液を一日も早く日本の患者さん・ご家族にお届けできるよう、承認取得に向け引き続き取り組んでまいります」と語っています。

ジアゼパム点鼻液国内第III相臨床試験の統括責任医師である中川栄二医師(国立神経・精神医療研究センター 副院長/てんかん診療部長/総合てんかんセンター長)は「2023年に実施した調査では、小児てんかん患者の介護者が医療機関外でのてんかん発作に対し、効果発現が早く簡便に使用できる薬剤を求めていることがわかりました3。また、国内で使用できる医療機関外で投与可能なレスキュー薬*は小児が対象で、18歳以上の患者が使用できる薬剤はまだありません。海外においてジアゼパム点鼻液は既に小児および成人でも有効性・安全性が検証されており、本邦においても本剤が幅広い年齢に使用できることが望まれます」と述べられています。

* レスキュー薬:てんかん発作が起こった時に、発作を止めるために介助者またはそれに代わるものが緊急的に投与する治療薬

今回の承認申請は、多施設共同国内第III相臨床試験、国内第I相臨床試験、および海外臨床試験の結果に基づいています。

【参考情報】アキュリスファーマ、てんかん発作に対する抗けいれん薬ジアゼパム点鼻液の 国内第III相臨床試験で良好な中間解析結果を示す(20231018日 当社発表)
https://aculys.com/ja/news/20231018-1090/

日本のドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロス解消の先駆者となり神経・精神疾患にかかわる社会課題解決に取り組む日本発の製薬ベンチャーであるアキュリスファーマは、てんかん発作を繰り返す患者さんの緊急治療ニーズに応える新たな治療選択肢となるジアゼパム点鼻液を患者さんと介護者、および医療従事者に早期に提供できるよう、承認取得に向けて取り組んでまいります。

ジアゼパムおよびジアゼパム点鼻液について

ジアゼパムは注射剤などの剤形でてんかん発作時の治療薬として日本の医療現場で約60年使用されています。ジアゼパムの坐剤は医療機関外においても患者さんや介護者などの医療関係者以外の方に使用されてきました。

本剤は米国Neurelis社が開発し、当社が日本およびアジア太平洋地域**での独占的開発・商業化に関するライセンスを有し、現在、日本における本剤の開発を進めています。同社は2020年にジアゼパム経鼻液(米国商品名:VALTOCO®)について「6歳以上のてんかん患者における通常の発作パターンとは異なる間欠性の典型的な発作頻発(すなわち、群発発作、急性群発発作)のエピソード(参考訳***)」を効能効果として米国食品医薬品局(FDA)の承認を得ています。また、20236月に中国国家薬品監督管理局(NMPA : National Medical Products Administration)が同様の効能効果でジアゼパム点鼻液を承認しています。

** アジア太平洋地域:オーストラリア、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、韓国、ラオス、マレーシア、ミャンマー、ニュージーランド、フィリピン、タイ、ベトナム

*** VALTOCO®の効能効果の原文:The acute treatment of intermittent, stereotypic episodes of frequent seizure activity (ie, seizure clusters, acute repetitive seizures) that are distinct from a patient’s usual seizure pattern in patients with epilepsy 6 years of age and older.

てんかんについて

てんかんは、脳の神経細胞の過剰な電気的興奮に伴って、意識障害やけいれんなどの症状(てんかん発作)を引き起こす慢性的な脳の病気です。日本では約60万〜100万人、1,000人に58人がてんかんに罹患していると言われています。医療の進歩により、多くのてんかん患者さんは適切な診断や抗てんかん薬などによる治療を受けることでてんかん発作抑えることができ、通常の社会生活を送っていますが、約3割の患者さんやそのご家族・介護者は繰り返す発作に対応することが求められています1,4

てんかんの原因、症状、重症度は患者さん個々人によって大きく異なり、同様にてんかん発作も患者さんごとに多様な性質をもっています。その中でも、1日に何度も繰り返される発作や一定時間が経過しても停止しない発作(てんかん重積状態)を抱える患者さんにおいては、脳へのダメージ、生命予後への影響が懸念され、速やかな治療介入が必要とされます2。しかしながら、現状、院外での発作対応は救急車で医療機関に搬送し、医療関係者による投薬治療を受けることが中心で、発作開始から医療機関に救急搬送されるまで2040分を要することから、時間の障壁があります2。 患者さんとそのご家族、医師を対象とした海外の大規模調査では、繰り返すてんかん発作が患者さんご本人はもとより、ご家族における精神的、社会的、経済的な負担についても報告されています5

Neurelis, Inc.について

Neurelis, Inc.(Neurelis社)は神経疾患領域でアンメットメディカルニーズを抱えているてんかんや希少神経疾患の治療薬の開発と商業化に注力している製薬企業です。 Neurelis社の詳細についてはwww.neurelis.comをご覧下さい。

アキュリスファーマ株式会社について

アキュリスファーマは、日本のドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロス解消の先駆者となり神経・精神疾患にかかわる社会課題解決に取り組む日本発の製薬ベンチャーです。“Catalyst to Access”(革新的な医療への橋渡しを担う)という理念を掲げ、Aculys(アキュリス)を社名としました。神経・精神疾患領域において革新的な医療手段への橋渡し役となり、患者さんとご家族、医療関係者、社会により良い医療を届けるため、欧米諸国から革新的で優れた医薬品を導入し、開発・販売を担い、さらに疾患を取り巻くさまざまな課題に対するソリューションを提供します。

会社名:アキュリスファーマ株式会社 [英語名:Aculys Pharma, Inc.
所在地:東京都港区北青山2 -14 – 4  the ARGYLE aoyama 6F
代表者:谷垣任優
設立日:20211
URL:https://aculys.com

<注意事項>
本リリースに記載されている医薬品に関する情報は当社の経営情報の開示を目的としており、当該医薬品の宣伝・広告を目的とするものではありません。

出典:

  1. 大槻泰介:てんかんの有病率等に関する疫学研究及び診療実態の分析と治療体制の整備に関する研究, 2013 https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/22749 (202492日アクセス)
  2. 日本小児神経学会:小児てんかん重積状態・けいれん重積状態治療ガイドライン2023 p.2-22, 診断と治療社, 2023
  3. Okazaki S, Nakagawa E, et al. Emergency management of pediatric epileptic seizures in non-hospital settings in Japan. Epilepsy Behav 2024;158:109914.
  4. Kwan P, MJ Brodie. Early identification of refractory epilepsy. N Engl J Med. 2000 342(5):314–319.
  5. Penovich PE, Buelow J, Steinberg K, et al. Burden of seizure clusters on patients with epilepsy and caregivers survey of patient, caregiver, and clinician perspectives. Neurologist. 2017 22:207–214.