アキュリスファーマ、てんかん発作に対する抗けいれん薬ジアゼパム点鼻液が希少疾病用医薬品の指定を取得

神経・精神疾患領域における革新的な治療薬の開発と商業化を推進するアキュリスファーマ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長 兼 共同創業者 :高橋 健、以下「アキュリスファーマ」 )は、開発中のてんかん発作に対する抗けいれん薬ジアゼパム点鼻液(NRL-1、以下本剤)が「てんかん重積状態」を対象として、厚生労働省より希少疾病用医薬品の指定を取得したことをお知らせいたします。

本剤は、日本で初めて開発中の鼻腔を薬物投与経路とするてんかん発作に対する抗けいれん薬であり、現在実施中の国内第III相試験における予め規定された中間解析で主要評価項目を達成しました*。

アキュリスファーマ薬事 兼 開発戦略部長である竹内 真一郎はこのように述べています。
「てんかん発作は通常数分間で自然に消退しますが、異常に長引いたり、意識が戻らないうちに発作を繰り返したりするてんかん重積状態に至る場合があります。てんかん重積状態は患者さんとご家族のQOL(生活の質)のみならず、生命予後への影響、および脳への障害等が懸念され、速やかな治療介入が必要とされています1。現在、医療機関外で使用できる薬剤は複数存在しますが、利便性の面などで課題もあります。本剤は経鼻投与製剤のため、外出先や学校など医療機関外でご家族や介護者の方など非医療者が簡易に、そして適切に投与しやすいことから、てんかん重積状態の患者さんに対して新しい治療選択肢となることが期待されます。このようなメリットが評価され希少疾病用医薬品の指定を取得することができました。患者さんやご家族の方が抱える不安や課題の解消に貢献できるよう、引き続き本剤の早期承認に尽力してまいります」

【参考情報】
第III相臨床試験の中間解析結果については、2023年10月18日付のプレスリリース[アキュリスファーマ、てんかん発作に対する抗けいれん薬ジアゼパム点鼻液の国内第III相臨床試験で良好な中間解析結果を示す](https://aculys.com/ja/news/20231018-1090/)をご確認ください。


ジアゼパムおよびジアゼパム点鼻液について

ジアゼパムは注射剤などの剤形でてんかん発作時の治療薬として日本の医療現場で約60年使用されています。ジアゼパムの坐剤は医療機関外においても患者さんや介護者などの医療関係者以外の方に使用されてきました。

本剤は米国Neurelis社が開発し、当社が日本およびアジア太平洋地域*での独占的開発・商業化に関するライセンスを有し、現在、日本における本剤の開発を進めています。同社は2020年にジアゼパム経鼻液(米国商品名:VALTOCO®)について「6歳以上のてんかん患者における通常の発作パターンとは異なる間欠性の典型的な発作頻発(すなわち、群発発作、急性群発発作)のエピソード(参考訳**)」を効能効果として米国食品医薬品局(FDA)の承認を得ています。また、2023年6月に中国国家薬品監督管理局(NMPA : National Medical Products Administration)が同様の効能効果でジアゼパム経鼻液を承認しています。

*アジア太平洋地域:オーストラリア、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、韓国、ラオス、マレーシア、ミャンマー、ニュージーランド、フィリピン、タイ、ベトナム

** VALTOCO®の効能効果の原文:The acute treatment of intermittent, stereotypic episodes of frequent seizure activity (ie, seizure clusters, acute repetitive seizures) that are distinct from a patient’s usual seizure pattern in patients with epilepsy 6 years of age and older.


てんかんについて

てんかんは、脳の神経細胞の過剰な電気的興奮に伴って、意識障害やけいれんなどの症状(てんかん発作)を引き起こす慢性的な脳の病気です。日本では約60万〜100万人、1,000人に5〜8人がてんかんに罹患していると言われています。医療の進歩により、多くのてんかん患者さんは適切な診断や抗てんかん薬などによる治療を受けることでてんかん発作を抑えることができ、通常の社会生活を送っていますが、約3割の患者さんやそのご家族・介護者は繰り返す発作に対応することが求められています2,3

てんかんの原因、症状、重症度は患者さん個々人によって大きく異なり、同様にてんかん発作も患者さんごとに多様な性質をもっています。その中でも、1日に何度も繰り返される発作や一定時間が経過しても停止しない発作(てんかん重積状態)を抱える患者さんにおいては、脳へのダメージ、生命予後への影響が懸念され、速やかな治療介入が必要とされます1。しかしながら、現状、院外での発作対応は救急車で医療機関に搬送し、医療関係者による投薬治療を受けることが中心で、発作開始から医療機関に救急搬送されるまで20~40分を要することから、時間の障壁があります1。 患者さんとそのご家族、医師を対象とした海外の大規模調査では、繰り返すてんかん発作が患者さんご本人はもとより、ご家族における精神的、社会的、経済的な負担についても報告されています4


希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)について

医薬品医療機器法第77条の2に基づき、対象患者数が本邦において5万人未満であること、医療上特にその必要性が高いものなどの条件に合致するものとして、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて厚生労働大臣が指定するものです。指定された場合、企業は助成金の交付、税制措置、優先審査、再審査期間の延長等の支援措置を受けることが可能となります。本指定制度の詳細は厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000068484.html)をご覧ください。


Neurelis, Inc.について

Neurelis, Inc.(Neurelis社)は神経疾患領域でアンメットメディカルニーズを抱えているてんかんや希少神経疾患の治療薬の開発と商業化に注力している製薬企業です。 Neurelis社の詳細については www.neurelis.comをご覧下さい。


アキュリスファーマ株式会社について

アキュリスファーマは、日本のドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロス解消の先駆者となり神経・精神疾患にかかわる社会課題解決に取り組む日本発の製薬ベンチャーです。“Catalyst to Access”(革新的な医療への橋渡しを担う)という理念を掲げ、Aculys(アキュリス)を社名としました。神経・精神疾患領域において革新的な医療手段への橋渡し役となり、患者さんとご家族、医療関係者、社会により良い医療を届けるため、欧米諸国から革新的で優れた医薬品を導入し、開発・販売を担い、さらに疾患を取り巻くさまざまな課題に対するソリューションを提供します。

会社名:アキュリスファーマ株式会社 [英語名:Aculys Pharma, Inc. ]
所在地:東京都港区北青山2 -14 – 4  the ARGYLE aoyama 6F
代表者:高橋 健
設立日:2021年1月
URL:https://www.aculys.com

<注意事項>
本リリースに記載されている医薬品に関する情報は当社の経営情報の開示を目的としており、当該医薬品の宣伝・広告を目的とするものではありません。

出典:

  1. 日本小児神経学会:小児てんかん重積状態・けいれん重積状態治療ガイドライン2023 p.2-22, 診断と治療社, 2023
  2. 大槻泰介:てんかんの有病率等に関する疫学研究及び診療実態の分析と治療体制の整備に関する研究, 2013 https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/22749 (2023年11月15日アクセス)
  3. Kwan P, MJ Brodie. Early identification of refractory epilepsy. N Engl J Med. 2000 342(5):314–319.
  4. Penovich PE, Buelow J, Steinberg K, et al. Burden of seizure clusters on patients with epilepsy and caregivers survey of patient, caregiver, and clinician perspectives. Neurologist. 2017 22:207–214.