- 持続陽圧呼吸(CPAP)療法による治療を受けているものの、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)に伴う日中の過度の眠気が残存する患者を対象とし、ヒスタミンH3受容体拮抗薬/逆作動薬pitolisantの有効性および安全性を評価する国内第Ⅲ相臨床試験による結果である。
- 主要評価項目の有効性を有意差(p=0.007)をもって達成するとともに、安全性および忍容性については海外の臨床試験と同等であることが確認された。
- 本試験から得られたデータに基づき、pitolisantの製造販売承認申請を予定している。
神経・精神疾患領域における革新的な治療薬の開発と商業化を推進するアキュリスファーマ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長兼CEO:谷垣 任優、以下「アキュリスファーマ」)は、ヒスタミンH3受容体拮抗薬/逆作動薬pitolisant(開発コード:BF2.649)について、持続陽圧呼吸(CPAP)療法による治療を受けているものの、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)に伴う日中の過度の眠気が残存する患者を対象にした第III相臨床試験(以下、本試験)において、主要評価項目を達成したことをお知らせします。
本試験では、OSAS患者に、pitolisantを12週間経口投与したときの、日中の過度な眠気の改善効果を、エプワース眠気尺度(ESS)を主要評価項目としてプラセボ群と比較した結果、統計的有意差(p=0.007)をもって本剤の有効性が示されました。また、安全性および忍容性についても海外の臨床試験と同等の結果が見られ、重篤な副作用は認められませんでした。
代表取締役社長である谷垣 任優は次のように述べています。「OSASに伴う日中の過度な眠気は、QOLや労働生産性の低下、また、交通事故等の事故のリスクに繋がることが報告されており、OSAS患者は日常生活で深刻な影響を受けています。我が国におけるOSAS患者の残存する眠気に対する治療選択肢は約15年間にわたり新たな薬剤の登場がなく、新たな治療選択肢が求められていました。本剤を必要とする患者さんに、一日でも早く届けることを目指して参ります。」
本試験から得られたこれらのデータに基づき、当社は閉塞性睡眠時無呼吸症候群を抱える患者さんがより安心して、自分らしく生活できる社会を実現するため、本剤を日本の患者さんへ早く届けることを目指し、pitolisantの製造販売承認申請を進めて参ります。
本試験の詳細は、以下をご参照ください。
https://jrct.niph.go.jp/latest-detail/jRCT2031220501
■OSASについて
OSASは、睡眠中に上気道の狭窄・閉塞が生じるために適切な呼吸が妨げられる疾患で、代表的な症状には、大きないびき、日中の眠気、不眠、熟睡感の欠如、全身の倦怠感などがあります。また、適切な治療が行われない場合の中長期的な問題として、高血圧や動脈硬化などの循環器系疾患、糖尿病、うつ病などの合併症リスクが挙げられます 1,2。
OSASの標準的な治療法であるCPAP(Continuous Positive Airway Pressure)は、上気道の狭窄・閉塞を緩和し、OSASに伴う諸症状や生活の質(QOL)の改善に寄与することが知られています。しかし、一部の患者さんにおいては適切な基本治療にも関わらず残存する眠気が継続する場合もあり3、日中の過度な眠気は、労働生産性への影響、QOLの低下、交通事故などの事故のリスク因子とされている4ことから、新たな治療選択肢が求められています。
■Pitolisantについて
Pitolisantは、人間の睡眠・覚醒リズムの制御において重要な役割を担っているヒスタミン含有ニューロンのシナプス前部に分布する自己受容体、ヒスタミンH3受容体へ選択的に結合する拮抗薬/逆作動薬です。pitolisantは、Bioprojet(フランス、パリ市)により創薬され、欧州では2016年に「カタプレキシー(情動脱力発作)を伴う、又は伴わないナルコレプシー」を効能・効果として、2021年には「閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)患者における覚醒状態の改善及び日中の過度の眠気の減少」を追加の効能・効果として欧州医薬品庁(EMA)より承認取得しました。米国では2019年に「ナルコレプシーに伴う日中の過度の眠気」を効能・効果として、2020年には「ナルコレプシーに伴うカタプレキシー」を追加の効能・効果として米国食品医薬品局(FDA)より承認を取得しており、既に臨床現場で使用されています。2023年末時点でナルコレプシーについては欧州・米国含め38か国、OSASについては欧州30か国で承認を得ております。
■アキュリスファーマ株式会社について
アキュリスファーマは、日本のドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロス解消の先駆者となり神経・精神疾患にかかわる社会課題解決に取り組む日本発の製薬ベンチャーです。“Catalyst to Access”(革新的な医療への橋渡しを担う)という理念を掲げ、Aculys(アキュリス)を社名としました。神経・精神疾患領域において革新的な医療手段への橋渡し役となり、患者さんとご家族、医療関係者、社会により良い医療を届けるため、欧米諸国から革新的で優れた医薬品を導入し、開発・販売を担い、さらに疾患を取り巻くさまざまな課題に対するソリューションを提供します。東京を拠点とするアキュリスファーマはキャタリスパシフィックにより設立されました。
会社名:アキュリスファーマ株式会社 [英語名:Aculys Pharma, Inc. ]
所在地:東京都港区北青山2-14-4
代表者:谷垣 任優
設立日:2021年1月
URL:https://aculys.com
<注意事項>
本リリースに記載されている医薬品に関する情報は当社の経営情報の開示を目的としており、当該医薬品の宣伝・広告を目的とするものではありません。
出典:
- 日本循環器学会.循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2008-2009年度合同研究班報告)循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン.
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン作成委員会(編):睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020
- Update on Persistent Excessive Daytime Sleepiness in OSA; Chest . 2020 Aug;158(2):776-786.
- The economic and societal burden of excessive daytime sleepiness in patients with obstructive sleep apnea. Sleep Med Rev. 2020 Jun;51:101275.