2024年10月21日
アキュリスファーマ、ナルコレプシー患者を対象としたpitolisantの国内第Ⅲ相臨床試験で良好な解析結果を示す
- ナルコレプシー患者を対象にヒスタミンH3受容体拮抗薬/逆作動薬pitolisantを経口投与した時の有効性および安全性を評価する国内第Ⅲ相臨床試験による結果である。
- 主要評価項目の有効性を達成するとともに、安全性および忍容性については海外の臨床試験と同等であることが確認された。
- 本試験から得られたデータに基づき、pitolisantの製造販売承認申請を予定している。
神経・精神疾患領域における革新的な治療薬の開発と商業化を推進するアキュリスファーマ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長兼CEO:谷垣 任優、以下「アキュリスファーマ」)は、ヒスタミンH3受容体拮抗薬/逆作動薬pitolisant(開発コード:BF2.649)について、日本人のナルコレプシー患者を対象にした 第III相臨床試験(以下、本試験) において、主要評価項目を達成したことをお知らせします。
本試験では、ナルコレプシー患者に、pitolisantを8週間経口投与したときの、日中の過度な眠気の改善効果を、エプワース眠気尺度(ESS)を主要評価項目としてプラセボ群と比較した結果、統計的有意差をもって本剤の有効性が示されました。重要な副次評価項目であるカタプレキシーの発作回数については海外と同程度の抑制効果が示されました。また、安全性および忍容性についても海外の臨床試験と同等の結果が見られ、重篤な副作用は認められませんでした。
代表取締役社長である谷垣 任優は次のように述べています。「ナルコレプシーの患者さんはご本人の意思に反して学校や職場で寝込んでしまったり、強い感情の動きをきっかけに生じる情動脱力発作(カタプレキシー)などの症状から、日常生活で深刻な影響を受けられています。また、我が国におけるナルコレプシーに対する治療選択肢は約17年間にわたり新たな薬剤の登場がありませんでした。ナルコレプシー患者さんに少しでも安心し、前向きに日常生活を送って頂けるよう、本剤を一日も早く届けることを目指して参ります。」
本試験から得られたこれらのデータに基づき、当社はナルコレプシー患者さん、そのご家族がより安心して、自分らしく生きていける世の中を実現するために、pitolisantの製造販売承認申請を目指しています。
本試験の詳細は、以下をご参照ください。
https://jrct.niph.go.jp/latest-detail/jRCT2031220432
■Pitolisantについて
Pitolisantは、人間の睡眠・覚醒リズムの制御において重要な役割を担っているヒスタミン含有ニューロンのシナプス前部に分布する自己受容体、ヒスタミンH3受容体へ選択的に結合する拮抗薬/逆作動薬です。pitolisantは、Bioprojet(フランス、パリ市)により創薬され、欧州では2016年に「カタプレキシー(情動脱力発作)を伴う、又は伴わないナルコレプシー」を効能・効果として、2021年には「閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)患者における覚醒状態の改善及び日中の過度の眠気の減少」を追加の効能・効果として欧州医薬品庁(EMA)より承認取得しました。米国では2019年に「ナルコレプシーに伴う日中の過度の眠気」を効能・効果として、2020年には「ナルコレプシーに伴うカタプレキシー」を追加の効能・効果として米国食品医薬品局(FDA)より承認を取得しており、既に臨床現場で使用されています。2023年末時点でナルコレプシーについては欧州・米国含め38か国、OSASについては欧州30か国で承認を得ております。
■ナルコレプシーについて
ナルコレプシーの発症時期は小児期、青年期および若年青年期に集中しているとされていますが、誤診されやすく、症状の認知度が低いために確定診断が遅れていることが世界的に課題とされています1。ナルコレプシーの原因や病態については未だ解明されていない点も多くあります。通常、オレキシンやヒスタミンなどの脳内の神経伝達物質が日中の覚醒と夜間の睡眠(レム睡眠・ノンレム睡眠)が規則的に繰り返されるよう調節する役割を担っていますが、ナルコレプシー患者さんにおいてはこれらが不規則に出現します2。この不規則な睡眠・覚醒サイクルのため、学校や職場で本人の意思に反して眠り込んだり、集中力を維持することに苦慮するなどの症状がみられます。また、強い感情の動きをきっかけとして全身あるいは体の一部の随意筋のまひが生じる情動脱力発作(カタプレキシー)、入眠時の幻覚体験(入眠時幻覚)や金縛り(睡眠麻痺)を伴うこともあります。これらの症状の種類や程度は患者さんごとに異なりますが、学業や就業における困難など、患者さんの日常生活に深刻な影響をもたらす場合があることが知られています3。
■アキュリスファーマ株式会社について
アキュリスファーマは、日本のドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロス解消の先駆者となり神経・精神疾患にかかわる社会課題解決に取り組む日本発の製薬ベンチャーです。“Catalyst to Access”(革新的な医療への橋渡しを担う)という理念を掲げ、Aculys(アキュリス)を社名としました。神経・精神疾患領域において革新的な医療手段への橋渡し役となり、患者さんとご家族、医療関係者、社会により良い医療を届けるため、欧米諸国から革新的で優れた医薬品を導入し、開発・販売を担い、さらに疾患を取り巻くさまざまな課題に対するソリューションを提供します。
会社名:アキュリスファーマ株式会社 [英語名:Aculys Pharma, Inc. ]
所在地:東京都港区北青山2-14-4
代表者:谷垣 任優
設立日:2021年1月
URL:https://www.aculys.com
<注意事項>
本リリースに記載されている医薬品に関する情報は当社の経営情報の開示を目的としており、当該医薬品の宣伝・広告を目的とするものではありません。
出典:
- Thorpy MJ, Krieger AC. Delayed diagnosis of narcolepsy: characterization and impact. 2014 May;15(5):502-7.
- Scammell TE. Narcolepsy. NEJM. 2015;373:2654-2662.
- Scammell TE, Jackson AC, Franks NP, Wisden W, Dauvilliers Y. Histamine: neural circuits and new medications. Sleep. 2019 Jan 1;42(1):zsy183.