神経・精神疾患領域における革新的な治療薬の開発と商業化を推進するアキュリスファーマ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長兼CEO:谷垣 任優、以下「アキュリスファーマ」 )は、開発中のナルコレプシーに対するヒスタミンH3受容体拮抗薬/逆作動薬pitolisant(以下本剤)が厚生労働省より希少疾病用医薬品の指定を取得したことをお知らせいたします。
本剤は、現在実施中の国内第III相試験で海外での臨床試験と同等の結果を示し、主要評価項目を達成しました。これらのデータに基づき、アキュリスファーマはpitolisantの製造販売承認申請を行い、ナルコレプシー患者さんとそのご家族がより安心して自分らしく生きていける世界の実現を目指します。希少疾病用医薬品指定により、新薬承認申請の規制審査期間は従来の12か月から9か月に短縮するほか、追加の支援措置を受けることが可能になります。
代表取締役社長である谷垣 任優は次のように述べています。「ナルコレプシーの患者さんはご本人の意思に反して起こる症状から日常生活全般に大きな負担を強いられています。日本ではこれまで20年近く新たな治療法がなかったこともあり、今回の希少疾病用医薬品の指定取得を大変嬉しく思います。本剤を一日も早く、ナルコレプシー患者さんにお届けすることを目指して参ります。」
本試験の詳細は、以下をご参照ください。
https://jrct.niph.go.jp/latest-detail/jRCT2031220432
■希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)について
医薬品医療機器法第77条の2に基づき、対象患者数が本邦において5万人未満であること、医療上特にその必要性が高いものなどの条件に合致するものとして、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて厚生労働大臣が指定するものです。指定された場合、企業は助成金の交付、税制措置、優先審査、再審査期間の延長等の支援措置を受けることが可能となります。本指定制度の詳細は厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000068484.html)をご覧ください。
■Pitolisantについて
Pitolisantは、人間の睡眠・覚醒リズムの制御において重要な役割を担っているヒスタミン含有ニューロンのシナプス前部に分布する自己受容体、ヒスタミンH3受容体へ選択的に結合する拮抗薬/逆作動薬です。pitolisantは、Bioprojet(フランス、パリ市)により創薬され、欧州では2016年に「カタプレキシー(情動脱力発作)を伴う、又は伴わないナルコレプシー」を効能・効果として、2021年には「閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)患者における覚醒状態の改善及び日中の過度の眠気の減少」を追加の効能・効果として欧州医薬品庁(EMA)より承認取得しました。米国では2019年に「ナルコレプシーに伴う日中の過度の眠気」を効能・効果として、2020年には「ナルコレプシーに伴うカタプレキシー」を追加の効能・効果として米国食品医薬品局(FDA)より承認を取得しており、既に臨床現場で使用されています。2023年末時点でナルコレプシーについては欧州・米国含め38か国、OSASについては欧州30か国で承認を得ております。
■ナルコレプシーについて
ナルコレプシーの発症時期は小児期、青年期および若年青年期に集中しているとされていますが、誤診されやすく、症状の認知度が低いために確定診断が遅れていることが世界的に課題とされています1。ナルコレプシーの原因や病態については未だ解明されていない点も多くあります。通常、オレキシンやヒスタミンなどの脳内の神経伝達物質が日中の覚醒と夜間の睡眠(レム睡眠・ノンレム睡眠)が規則的に繰り返されるよう調節する役割を担っていますが、ナルコレプシー患者さんにおいてはこれらが不規則に出現します2。この不規則な睡眠・覚醒サイクルのため、学校や職場で本人の意思に反して眠り込んだり、集中力を維持することに苦慮するなどの症状がみられます。また、強い感情の動きをきっかけとして全身あるいは体の一部の随意筋のまひが生じる情動脱力発作(カタプレキシー)、入眠時の幻覚体験(入眠時幻覚)や金縛り(睡眠麻痺)を伴うこともあります。これらの症状の種類や程度は患者さんごとに異なりますが、学業や就業における困難など、患者さんの日常生活に深刻な影響をもたらす場合があることが知られています3。
■アキュリスファーマ株式会社について
アキュリスファーマは、日本のドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロス解消の先駆者となり神経・精神疾患にかかわる社会課題解決に取り組む日本発の製薬ベンチャーです。“Catalyst to Access”(革新的な医療への橋渡しを担う)という理念を掲げ、Aculys(アキュリス)を社名としました。神経・精神疾患領域において革新的な医療手段への橋渡し役となり、患者さんとご家族、医療関係者、社会により良い医療を届けるため、欧米諸国から革新的で優れた医薬品を導入し、開発・販売を担い、さらに疾患を取り巻くさまざまな課題に対するソリューションを提供します。
会社名:アキュリスファーマ株式会社 [英語名:Aculys Pharma, Inc. ]
所在地:東京都港区北青山2 -14 – 4
代表者:谷垣 任優
設立日:2021年1月
URL:https://aculys.com
<注意事項>
本リリースに記載されている医薬品に関する情報は当社の経営情報の開示を目的としており、当該医薬品の宣伝・広告を目的とするものではありません。
出典:
- Thorpy MJ, Krieger AC. Delayed diagnosis of narcolepsy: characterization and impact. 2014 May;15(5):502-7.
- Scammell TE. Narcolepsy. NEJM. 2015;373:2654-2662.
- Scammell TE, Jackson AC, Franks NP, Wisden W, Dauvilliers Y. Histamine: neural circuits and new medications. Sleep. 2019 Jan 1;42(1):zsy183.